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債権/債務の意味と違い

ビジネス用語として頻出の債権と債務(主な例として売掛金と買掛金)、それぞれの意味と違いについて、わかりやすく解説します。

債権は権利、債務は義務

まずポイントとして、債権と債務はそれぞれ権利と義務を表す一対の言葉です。

債権は「特定の人に対して、一定の給付または行為を請求する権利」のことです。多くの場合、お金を支払うように請求できる権利を指します(金銭債権)。

債務は「特定の人に対して、一定の給付または行為を提供する義務」のことです。多くの場合、お金を支払わなければならない義務を指します(金銭債務)。

債権を持つ人のことを債権者、債務を負う人のことを債務者と表現します。

そのため、例えばAさんがBさんにお金を貸している場合、Aさんは債権者で、Bさんは債務者ということになります。

債権/債務の関係は、お金の貸し借りや、商品やサービスの掛取引(後払いの取引)においてよく生じます。

なお、債権を「債券」と誤記するケースがありますが、債権は権利である一方、債券は国や企業が投資家から資金調達をするのに発行する、国債や社債などの有価証券のことです。どちらも字面から判断できると思いますので、変換ミスには気をつけたいところです。

不良債権とは

よくニュースなどで不良債権という言葉を耳にすると思います。不良債権とは、実現できなくなった債権のことです。

多くの場合、お金を貸したけど返してもらえず、あるいは商品やサービスを掛売りした(後払いで売った)けど代金を支払ってもらえず、消化できなくなった債権を指します。

なお、このように債権が回収不能になる、不良債権化することを「債権が焦げ付く」と表現します。

不良債権は、取引先の経営状態が悪化したり、倒産したりすることでよく発生します。

不良債権の発生は、債権者からすれば誰でも避けたいものです。そのため、企業や金融機関などは、不良債権対策として、信用調査や与信調査を行ったり、契約において経営状況悪化時の債権回収(期限の利益の喪失)について取り決めたりします。

債権回収とは

債権回収は、言葉の成り立ちとして少し不自然です。債権回収は、債権という権利を回収するわけではなく、債権に基づいて、請求できる給付や行為を実施させることを意味し、督促的や強行的なニュアンスがあります。

例えば、お金の貸し借りの場合、貸したお金を取り立てることが債権回収です。また、商品やサービスの掛取引(後払いの取引)の場合、販売先から代金を取り立てることが債権回収です。

債権回収は、返済や支払いが遅滞した場合や、債権が焦げ付いた、あるいは焦げ付きそうな場合に行われます。

このような債権回収を、本来の債権者の代わりに行う業者が「債権回収業者」です。いわゆる「取り立て屋」といったもので、暴力団のようなイメージを持つかもしれませんが、一応は「債権管理回収業に関する特別措置法」によって、暴力団が営む会社や、暴力団が回収業務に従事するおそれのある会社は、営業が許可されないことになっています。

債権/債務を○○する|くっつく言葉

債権は権利であるので、くっつく言葉としては「行使」がもっとも適切です。「債権を行使する」とは、つまり返済や支払いを請求することになります。

債務は債権よりも、くっつく言葉が多い印象です。例えば「債務を弁済する」「債務を返済する」「債務を償還する」といった返すニュアンスのある言葉もつきますし、義務なので「債務を履行する」ということもできます。

なお、債務が完全に弁済されることで、その債務と対応する債権は「消滅」します。

売掛金は債権、買掛金は債務

債権の代表例として売掛金、債務の代表例として買掛金があります。これまでにも触れたとおり、売掛金や買掛金の概念は掛取引において発生します。

掛取引とは、商品やサービスの販売時点で決済せずに、支払日を別途定めて後日代金の支払いを行う、後払いの取引のことです。なお、コンビニやスーパーでの買い物はその場で決済するので、掛取引には該当しません。

掛取引は、例えば「月末締め・翌月10日払い」といった形をよく取ります。この例でいうと、買い手が1月に販売した商品やサービスは、1月末日時点で請求代金が算出され、買い手は2月10日にその1月分の代金をまとめて支払います。このとき、売り手が商品やサービスを売ったけどまだ回収していない代金が売掛金です。そのため、売掛金があるのは、つまり債権を有していることになります。

反対に、買い手が商品やサービスを購入したけど、まだ代金を支払っておらず、後で支払わなければならない代金が買掛金です。買掛金があるのは、つまり債務を負っていることになります。

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