当該/該当の意味と違い
当該と該当はまぎらわしく、よく誤用されます。
どちらも少し硬い言葉で、フォーマルな場面でよく使われることから、誤用しないように気をつけたいところです。
ここでは、当該と該当、それぞれの意味と違いについて、わかりやすく解説します。
当該の意味と使い方
まずは当該です。
当該の基本的な意味は「その~」「本~」です。通常、当該の後ろには名詞が続き、次のように使います。
当該の使用例:
- 来年から新しい規則が適用されます。当該規則に違反した場合、処分の対象となります。
⇒ 当該規則 = その規則 = 新しい規則 - 自治体が補修工事案件の入札を募っています。当該案件の入札は来月から始まる予定です。
⇒ 当該案件 = その案件 = 補修工事案件 - 本契約書には支払に関する覚書が付属します。当該覚書の効力は本契約書と同等です。
⇒ 当該覚書 = その覚書 = 支払に関する覚書
当該は、基本的に書き言葉で、フォーマルな文書でよく使用されます。口語として使うのなら、「その~」や「本~」に言い換えた方が適切です。
ちなみに、当該は英語で"this" "the" "its" と表現することが多く、「前述の」を強調するなら"said"を使うこともできます。
該当の意味と使い方
次に該当です。該当は当該よりも頻繁に使用すると思います。該当の基本的な意味は良くも悪くも、何かの条件を満たすことです。あてはまる、とも言い換えられます。
例えば、ネットショッピングで商品を絞り込んで検索すると「○点の商品が該当しました」のような文言をよく見ることがあると思います。さらに例をあげてみます。
当該の使用例:
- 参加条件に該当する。
- メタボリックシンドロームに該当する。
- 条件を満たしたら補助金を受け取れます。該当者は窓口で手続きをしてください。
上記「該当者」のように、該当は「該当企業」「該当業者」「該当案件」のように、直接名詞を修飾することもできます。
ちなみに、「該当する」の英語は"meet" "correspond"などで表現できます。「その要件に該当する者」であれば、"someone who meets the requirement" といった具合です。
該当するか否か:該否
割とよく「該当するか否か」という表現を使うシーンがありますが、これは該否と表現することができます。
該否は、輸出規制に関する文書でよく見聞きします。企業が、法令や規則に照らして、輸出して良いのか悪いのか判断することを「該否判断」と言います。
ただ、該否という言葉はだいぶ硬いので、やはりフォーマルな書き言葉に限って使うことが望ましいと思います。
当該/該当の使い分け 復習問題
当該/該当の意味と違いを理解したら、ぜひ復習問題にチャレンジしてみてください。
※問題と解説を見る
とじる
問題:甲と乙は、次の通り、機械部品の調達に関する契約を締結します。双方は( )契約の履行に伴い知得した情報について、それぞれ守秘義務を負います。
答え:当該
解説:前述の機械部品の調達に関する契約を指しているので「当該契約」となります。慣例的に本契約と言い換えることもできます。
問題:次の条件に( )する者は、試験を免除する。
・過去1年以内に英検1級を取得
・関連業務経験3年以上
答え:該当
解説:条件を満たすことを表すので「該当」となります。
問題:規制物質に( )する原料を輸出するには、事前に許可を得る必要があります。
答え:該当
解説:規制される条件を満たしているので「該当」を使います。
問題:特別賞:( )者なし
答え:該当
解説:特別賞を受ける条件を満たしていないので「該当」を使います。
問題:新築物件登場、早い者勝ち!
※( )物件の価格は未定です。
答え:当該
解説:その新築物件の価格が未定という意味なので「当該」を使います。本物件と言い換えることもできます。