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言葉の重複は避けるべき?「違和感を感じる」に違和感を覚えたら
何かとよく見聞きする「違和感を感じる」という言い方。
誤用というほどではありませんが、「感」が重複することが気になるのなら、その感覚は正常です。
違和感に限らず、言葉の重複はよくあります。言葉の重複を解消することで、読み手の思考に余計な負荷をかけない、親切な文章にすることができます。
目次
「~感」は「覚える」
冒頭の「違和感を感じる」の場合、「違和感を覚える」または「違和感がある」と言い換えるのがスマートです。
違和感に限らず、「~感」であれば、ほとんど「覚える」で対応できます。
「不足感」などの一部の言葉は、「感」を外すことで、「感じる」を使うことができます(不足を感じる)。
- 違和感
(△)違和感を感じる →(〇)違和感を覚える、孤独感がある - 孤独感
(△)孤独感を感じる →(〇)孤独感を覚える、孤独感がある、孤独を感じる - 絶望感
(△)絶望感を感じる →(〇)絶望感を覚える、絶望感がある、絶望を感じる - 不足感
(△)不足感を感じる →(〇)不足感を覚える、不足感がある、不足を感じる - 期待感
(△)期待感を感じる →(〇)期待感を覚える、期待感がある、期待を感じる - 距離感
(△)距離感を感じる →(〇)距離感を覚える、距離感がある、距離を感じる - 安心感
(△)安心感を感じる →(〇)安心感を覚える、安心感がある、安心を感じる - 親近感
(△)親近感を感じる →(〇)親近感を覚える、親近感がある - 存在感
(△)存在感を感じる →(〇)存在感を覚える、存在感がある
「商品を納品」「商品を返品」等 その他の重複
商取引では「納品」や「返品」という言葉が頻出です。これに伴い、「商品を納品する」や「商品を返品する」といった言葉の重複も少なくありません。 この場合、他の動詞に言い換える、あるいは目的語(上の例では商品)を削除すると、スマートになります。- 納品
(△)商品を納品する →(〇)商品を納入する、納品する - 返品
(△)商品を返品する →(〇)返品する - 返金
(△)代金を返金する →(〇)返金する - 納税
(△)税金を納税する →(〇)税金を納付する、税金を納める、納税する - 付保
(△)保険を付保する →(〇)保険を設定する、保険を付ける、保険を契約する、付保する
歯がゆい言葉「消費増税」
消費税率が引き上げられるとき、メディアはこぞって「消費増税」という言葉を使っていました。「消費税増税」として税が重複するのを避けた結果かもしれません。しかしこの言い方、とても歯がゆいです。
「消費税率引き上げ」が正しい表現ですが、メディアは増税というインパクトのある言葉を使用したかったのかと思います。
言葉は、必ず正しい表現にしなければならないわけではありません。結局は、わかりやすさや具体性、強調を加味して、ケースバイケースで適切に使い分けるのがもっとも大切なのかもしれませんね。